どうも、メンヘラナマポおじさん(@MenhealerOjisan)です。
高田明和さんの「一日10分の坐禅入門」を読みました。
引用レビューします。
うつ病発生のメカニズム
ところが薬を使用しても治まらない場合が多いのです。セロトニンの量を増やすとされる選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)と呼ばれる薬(日本ではパキシルとかルボックスの名で売られている)は副作用がないとされます。しかし、効果が弱い場合も多く、さらに再発する危険も非常に多いことが知られています。そこでいろいろな薬を加えることになりますが、それでも気分が改善せず、薬を減らすこともできず、かといってうつ的な感情、自責の念とか、やる気の無さ、目的感の喪失などが続いて、結局社会的な活動ができないというような人も多くなっています。
うつ病と心の在り方
認知療法では、このように行き詰った場合に、何でもよいから、その考え方を否定し、別の考え方で物事を考え、それに基づいて行動させるようにします。日本でも言われる「ものは考えよう」という思考方法を持つように勧めるのです。
しかし、これでも治らないような人は多くいます。そこで欧米ではうつ病の治療には、薬物療法、心理療法のほかに宗教が必要だといわれるようになりました。実は日本人に最も欠けているのがこの部分です。日本には古くから「八百万の神」などという言葉もあり、今も多くの宗教が存在しているように思われますが、見方によっては無宗教だともいえるのです。どの宗教にも真剣に帰依しないからそれだけ日本に多くの宗教が存在できるともいえるのです。
なぜ宗教が必要なのかについて、うつ病は「愛の欠如による病」だからという側面があります。つまり、うつ病は、本来愛したい自分を愛せないから、本来愛されたい自分を愛してもらえないから起こるのだというのです。
実際、自分たちが生存できるのは、私たちが自分を大切にし、苦しめないように、困らないようにする本能があるからです。だから食べ物も栄養のあるものを摂ろうとし、そのために狩猟にしろ、農耕にしろ苦しい思いもするのです。また子孫を増やしたいという欲求のために、異性の歓心を買おうとし、そのためには時に危険な行動も取ったりするのです。
一方私たちは愛されたいと思っています。子孫を残すために異性を求める。つまり、人を愛するというのは、異性に愛されたい、大切に思われたい、それにより自分が大切にされているという自覚を持ちたいということと表裏一体です。
ところがうつ病になると愛したい自分を愛せない、その自分の体や思いを傷つけてしまう、極端な場合は自殺までするというようなことになります。また愛されたいのに、自分は人から好かれていない、自分は他人から尊敬されないなどと考えてしまうのです。
しかし、このように愛の思いが相対的な場合には、その思いが裏切られたり、愛を得られなかったりすれば、不遇の思い、絶望感を持ってしまいます。自分を否定するような思いに襲われます。自分を愛したいと思っても、自分を裏切るような行為をしてしまえば、「自分のような駄目なものは生きていても仕方ない」という気持ちになるのです。
うつに苦しむ人も本能的にこのことに気付いてきたと思います。そこで日本的な、あるいは東洋的な自分を信ずる、愛することができるようになる方法はないだろうかと考えるようになったのです。これが最近の仏教ブーム、東洋ブームの原因だと思います。
次に呼吸を正す
さて、禅では最初に数息観という方法を教えます。これは自分の呼吸を数えるのです。白隠禅師も「始め数息観をなすべし。無量三昧の中には数息をもって最上となす」と述べておられます。これは自分の呼吸を数える方法です。
まず息を吐く時に「ひと―――」と吐いてゆき、充分に吐いたあとで吸うのですが、その時に「つ―――」と言いながら吸います。次にまた吐く時に「ふた―――」と吐いていって、吐き終ったら「つ―――」と吸います。これを一から十までやり、十になったらまた一に戻ります。
(中略)
次に髄息観です。これは息をする時に数を数えたりせず、無念の中でただ呼吸をするという方法です。曹洞宗の只管打坐がこれに当たるでしょう。
しかし、何も考えないで呼吸をするということは非常に難しいのです。そこで臨済宗では後で述べる公案として用いられる「無」を使い、「む―――」と唱えながら息を吐いたり、吸ったりするように指導します。息を吐く時に、ゆっくり「む―――」とやります。一息で吐くのですから、「む―――」と言い続けられるはずですが、少し途切れたりします。そこで「む―――」、「む―――」と途切れてもすぐに「無」になるようにするのです。これは吸うときにも同じです。すると非常にゆっくりした呼吸ができ、妄想も少なくなります。数息観より妄想を減らすのに役立ちます。ぜひおやりになることをお勧めします。
では、なぜ呼吸をゆっくりさせることがこんなに体と脳に良い影響を与えるでしょうか。ゆっくり呼吸をすると血中の二酸化炭素の量が増えます。だから少し苦しくなり、早く息をしたくなるのです。二酸化炭素は脳内でセロトニンを増やす効果を持ちます。セロトニンは前にも述べたようにうつを治す、あるいはうつを予防する物質です。これが増えることは、私たちの脳を活性化し、気分を明るくします。またセロトニンは海馬の細胞を増やすので、気分を明るくするだけでなく記憶を良くする作用もあるのです。釈尊など古人は経験から息をゆっくりさせることを知っていたのです。
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